インプラント治療の進め方

インプラント治療を不安なく安全に進めていくためには、数多くの治療ステップを積み重ねていくことが大切になります。インプラント治療は以下のように進めていきます。

1. インプラントをする部位の診査・診断

インプラントをする部位の骨の状態、歯肉の状態、咬み合わせなど、様々の事柄について診査します。口腔内全体の状態を把握するために、パノラマ断層X線撮影を行います。口腔内の模型診査・咬み合わせの診査、また歯科用CT装置で撮影を行い、そのデータを分析・3次元的に解析することにより的確な診断を行います。

2.インプラント治療を含む口腔内治療計画

インプラント治療を成功させ、長期にわたって健康であるためには、患者さんの口腔内全体が健康な状態でないといけません。そのためには、現在残っている歯の状態、これから起こるであろう問題について詳しく検討する必要があります。

3.術前処置

原則的にインプラントの手術をいきなり行うことはできません。綿密な術前処置がインプラント手術の前に必要となります。インプラントを行う欠損部と、残存歯の両方に対して適切な処置が行われなくてはいけません。
主な処置としては歯周病の処置、咬合(咬み合わせ)に関する処置などが考えられます。

【歯周病に対する処置】
歯周病の項目を参照してください。

【咬合に関する処置】
インプラント治療を希望される方の多くは、咬み合わせに不調和が生じている場合が少なくありません。バランスの取れた咬合状態にするために、状態の悪い歯のかぶせているものを新しく作り直すことも必要になります。

4.インプラント埋入手術

手術の再の麻酔は歯を抜く時の麻酔と同じ程度の局所麻酔で行います。
特別な処置を必要としない手術の場合2本のインプラントを埋入するのに15分から20分程度の時間で終わります。骨移植等の処置が必要な場合は処置の難易度に応じて手術時間は長くなります。

5.インプラントの治癒期間

インプラントの手術の後、インプラント本体(フィクスチャー)が周りの骨と一体化(オッセオインテグレーション)するまで、ある程度の期間が必要です。この期間はインプラントをした部位の骨密度によって左右されますが、平均的な骨密度、特別な処置を必要としないインプラント手術をした場合、概ね6週間の治癒期間の後負荷をかけるようにしています。
最近では、条件がよく単独植立でない場合は即時負荷も考えられる様になってきています。

6.上部構造の作製(インプラント補綴)

最終的な上部構造を作る前に、仮の歯(プロビジョナルレストレーション)を作成して全体的な咬み合わせのバランスを考えた上で、形態などの修正を行います。
上部構造の形態はメインテナンスや審美性に大きく影響を及ぼします。インプラント周囲の歯肉への配慮、審美的要素の調和の取れた理想的な補綴物の形態を模索した上で最終補綴物を作成します。

7.メインテナンス

インプラントをできるだけ長く機能させるために、定期的なチェックは欠かせません。インプラントで出来た歯も天然歯と同じように歯周病になってしまうことがあります。従って、インプラントの周りの骨を健康な状態に維持していくには、毎日の自己管理が必要になってきます。
メインテナンスには、患者さんが毎日行っていただくセルフメインテナンスと時々病院においで頂いてするプロフェショナルメインテナンスがあります。

【セルフメインテナンス】
患者さん自身が毎日行うメインテナンスです。歯科医師・歯科衛生士がそれぞれの患者さんのお口の中の状態に最も適当な方法の指導を行います。

【プロフェショナルメインテナンス】
インプラント治療が終わってからも定期的なチェックをしなくてはいけません。咬み合わせのチェック、ブラッシングの指導、レントゲンでの検査、その他色々必要なアドバイスを行って行きます。

経年的変化をレントゲン画像を並べて比較する事により、詳細に検査します。

インプラントを長く口腔内で機能させてゆくために、患者さんと我々医療スタッフが力を合わせてメインテナンスを続けてゆくことが大切なのです。